会長からのメッセージ



SDGsの達成に貢献する大学農場のフィールド教育

全国大学附属農場協議会
会長 西脇 亜也
(2020年4月1日)


 昨年の巻頭言では「大学附属農場の存在意義を高く掲げて危機に臨むには」と題して、施設・設備の老朽化、予算減少、人員削減、職員の多忙化の激化などの大学附属農場をとりまく“危機”について述べるとともに、一方で大学附属農場の存在意義についての理解が徐々に進んでいることを述べました。

 令和元年5月10日に、平成31年度教育シンポジウム「SDGsの達成に貢献する大学農場のフィールド教育」(主催:日本学術会議農学委員会農学分科会・全国大学附属農場協議会、後援:文部科学省、農林水産省)を開催しました。その際、私のプレゼン内容の多くは現在と過去の「一農場一アピール」から引用させていただきましたが、SDGsの多くのゴール(目標)は大学農場の活動のほとんど全てに大きく関係することを痛感しました。大学農場は、大学設置基準によって、「農学に関する学部」に設置される附属施設であり、農学教育には農場実習が必須であり(目標4.3)。近年 農業女子(ノケジョ)の躍進が目覚ましく(目標5.b)。さらに、食糧危機の克服(目標2.5)、人々の健康と癒し(目標3.9)、水汚染対策とバイオトイレ(目標6.3)、バイオエネルギー(目標7.a)、ICT農業(目標9.b)、都市の農業(目標11.a)、資源循環型農業(12.5)、地球温暖化対策(目標13.3)、自然環境の修復・保全(目標15.1)、留学生教育(目標17.7)等のSDGsの達成や、これら以外のSDGsの達成に対しても、大学農場が貢献できる可能性は高い(例えば、天然資源の管理:目標12.2、海の豊かさ:目標14.1など)と思います。

 何よりも、大学農場は多様な農業現場を有し、教育研究を展開する場であると同時に、市民や海外からの研修生・留学生に対する農業技術普及を行うなど、総合的なフィールド教育研究の場として活用されてきましたが、この極めて統合性の高い大学農場の特徴は、SDGsの達成に非常に適合していると考えられます。

 SDGsでは地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)持続的世界を構築することを誓っています。この理念に基づけば、「どの大学農場も取り残さない」をモットーに、持続可能で多様性の高い大学農場を構築することが基本的な目標となります。この目標が達成されれば、近い将来、全ての大学農場が、自然環境と科学的研究成果を最大限に活かしたフィールド教育を活き活きと展開することによって、日本全体のSDGsの達成に大きく貢献できると期待されます。

 個々の農場の特性を最大限に活かす方向をしっかり自らの手で実践することが「農場の存在意義を高く掲げて」危機に臨むことになる と思いますので、今後も活発なフィールド教育を実践していただきますよう、よろしくお願いいたします。


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